ヘアカット 髪型を決めるのは誰? その2

髪型は誰が決める?2 訪問理容活動

こんにちは!
伊勢崎市、桐生市、前橋市を訪問カットしています。
訪問理容さいとうです。

ヘアカットを依頼した人と髪を切って貰う人の意見が違うという困った現象。
これは子供に限ったことではありません。
高齢者と介護者の間でも同様の問題が起こることがあります。
そのときも双方の意見をしっかり聞く必要があります。

関連トピック 子供のヘアカット 髪型は誰が決める?

高齢者は立派な大人です。

高齢者の場合は大人ですから
本人の希望通りにするするのがもっとも理想的です。
しかし、その方が介護を受けているとしたら介護している人の意見も聞く必要があります。
介護している人とは配偶者あるいはその方の息子さんや娘さんといったご親族です。
そしてその方が介護サービスを利用しているのならその事業所の職員(介護士)さんの意見も必要があれば聞きます。

ご本人のご希望どおりにカットをして問題が何もなければそのままで大丈夫です。
女性のお客様で例えば希望が髪を肩甲骨まで伸ばして一本にまとめられるようなロングヘアにしたいとおっしゃったとします。
ご自分で長い髪をシャンプーしてしっかりすすぎ、ドライヤーで乾かし、ブラッシングして縛れるのならなにも問題ありません。
そこまでできなくても生活に支障なければ希望の長さでいいでしょう。
ご本人のご希望の長さに切ります。
もし、ご本人ができなくてもおうちの人がお世話するのでしたらそれも良いでしょう。
介護施設に入っていたとしても
も職員の人が面倒を見てくれるのならおまかせします。

しかし、だれも伸ばした髪の世話をすることが望めない場合は長過ぎる髪は切らざるを得ない結果になることが多いです。
職員の方が入浴介助してロングヘアの女性をシャンプーし乾かすのは時間と労力をかなり消費することになります。
職員の方は一人で蒸し暑い浴室で何人もの利用者の入浴介助をし髪を乾かさなければなりません。
高齢者になっていても頭のはっきりしている方はその事情を察してすすんで髪を短くする方もいます。

ご本人の自己管理能力を鑑みて介護側の希望を考慮するとミディアムからショートの長さにすることも時には必要となります。
ショートヘアの快適さに慣れてしまうと髪を切ることへの抵抗も減るようです。

認知症の方には粘り強く長い目で対応する。

高齢者のお客様のなかには認知症の症状があり髪を切ることを拒否する方もいます。

認知症による記憶障害、見当障害、理解・判断の障害のため、
周囲からの刺激や情報に対して正しい解釈ができなくなることがあります。

認知症になるとその場の状況が読めなくなったりします。

いつもお世話になっている理容室(美容室)に行くから今日切ることはない。
その人にとって自分は何も変わっていないので、こう言います。
しかし、その人は高齢者施設に入所しています。
一人で外に出歩くことはできません。
ご家族の方が外に連れ出してくれる可能性も薄いです。
この場で切るより他は難しい状況です。
しかしそれを理解していただくことはまた難しいことです。
今回だけは申し訳ないけども、せっかく理容師(美容師)さんが来てくれたので切ってほしいと頼みます。

今までの経験では対外的に暴れてどうしてもカットをしてくれないので
施設の職員さんに手を押さえてもらいすることもありました。
そういうケースは今はありません。
ですが
理美容師はとても切れ味のよいはさみを持っています。
間違いでお客様を傷つけてしまっては取り返しがつきません。
高齢者の皮膚は薄くなっていてとてもデリケートです。
かるく鋭い刃先が当たっても傷になりやすいので細心の注意が必要です。
細かいギザギザの刃のバリカンでさえ傷を作ってしまうことがあるのです。
私としては強制的にカットすることは危険なので無理にはしないようにしています。
ご本人の気持ちも無理に髪を切らせようとされたと傷ついてしまい信頼関係が壊れてしまします。

職員の方が 訪問カットをせっかく呼んだのだからこの機会にぜひ髪を切ってもらおうと
なんとか本人を説得することもあります。
拒否がある人の場合は工夫しながら話してみます。

「息子さん(娘さん)に頼まれているから髪を切りましょう。」
「奥さん(ご主人)からお金を先にいただいているので髪を切りましょう。」
「お正月が来るから髪を切りましょう。」

どうにかカットする気になっていただいて席に座っていただければ運がいいです。
じつはこれらの言葉かけはあまり効果がありません。
本人が私は髪を切らないという気持ちになってしまうとそのようにしないと気持ちがおさまらない一貫性の論理が働くのです。
それを覆すのは難しいです。

その人の尊厳を大事にする。

定期的に訪れている施設だったらまたの機会にしましょうと引っ込めます。

日を改めて伺うととてもご機嫌がよくこの前は何だったのかと言うほどスムーズにカットできるケースもあります。
水スプレーで濡らして、櫛で梳かすときに冷たかったり痛かったりすると不快で気分をわるくされるのでストレスをかけないように気をつけます。
施術時間は手早く仕上げまで長引かせないように努力します。
落ち着かないときは他のことに集中してもらい気をそらすようにする。
一緒に歌を歌いながら髪を切る。
やさしく話しかけて髪を切っていることを意識させない。
嫌なことをされているという感じをさせないように気をつけます。

人は歳を重ねるに連れて一貫性を重視する傾向があります。
自分が一回決めたものを他人の意見で変えることは難しいです。
今日は自分は髪を切りたくないという決定を一度してしまうと、その決定を他人が切りなさいと言っても覆すということは困難になります。
その決定は本人の意思であり、自分の心を支える信念なのです。
ですから拒否の意思決定がされる前に髪を切ることの了解が必要です。
本人の忘れないうちにしなくてはなりません。

穏やかな気持でカットする。

認知症で拒否のある高齢者に施術するときは強行は禁物です。
しかし、はじめはとても嫌がっていた人でもカットが終わると鏡に写った自分を見て素直な気持ちになることがあります。
ありがとうと言ってくれる方も珍しくありません。
やっぱり、さっぱりして気持ち良かったと言ってもらえると嬉しく思います。
訪問理美容師は感情的にならないで急がず穏やかな気持で接することが肝心です。

参考文献:認知症サポーター養成講座標準教材 



斉藤聡
訪問理容さいとう代表  
東北工業大学卒 群馬理容専門学校卒
1995年から理美容室2店舗で理容師として勤務。
2002年からは訪問理美容専門事業所に所属して訪問理美容を開始する。
同時に訪問介護員2級を取得する。
2019年より伊勢崎市を中心とした地域密着型訪問理容を志し独立。
同時に訪問介護員としても活動を開始。
現在介護職について2年目になりました。

趣味はランニング。
2020赤城大沼バーチャルトライアル20kmの部完走。
2020ぐんまウェブマラソン100kmの部完走。

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